建築業界働き方改革 現場のリアルな声を取材

2024年問題を現場の声でリアルに伝えていきます!

皆さんこんにちは!今回の記事は辰己が書いていきます✨

最近話題の建築業界の働き方改革について安西も記事にしていたのですがこの記事は現場の声編ということでアンケート取材を行ってきました!

貴重なリアルな現場の空気感や感こんな制度があったらいいな、こうなって欲しい等のビジョンも含めてたくさんのお声をいただきましたので建築業界にご興味をお持ちの皆様、ぜひ最後までお読みください!

また、今回の取材にあたりたくさんの建築業界の皆様、企業様にご協力いただき誠にありがとうございました。(記事の最終ページでご紹介しております🙇)

2024年問題?!働き方改革とは?

建築業界は、皆さんご存知の通り日本の経済と社会を支える重要な産業の一つです。しかし、戦後の急成長を支えた職人たちの努力は計り知れないものでした。(当時を支えてくれた職人たちのおかげで日本のインフラは回復し、経済も成長jしていきました。今こうして私たちが生活し様々な仕事に就いているのもこの時代を支えてくれた人たちがいるから成り立っていると思います)当時からの建築業界全体のイメージとして長時間労働や厳しい人間関係、職業の多様化による人手不足、高齢化など、さまざまな課題に直面しています。

これらの問題を解決し業界の持続可能な発展を実現するために「働き方改革」が注目されています。

建築業界の現状と課題

建築業界というとどのようなイメージを持たれる方が多いでしょうか?

私のアンケート※によるとこのようなイメージを持たれている方が多い様子でした。

実際にデータとしてみていきましょう!

長時間労働の常態化

建築業界では、長時間労働が常態化しています。国土交通省の調査によると、建設業の年間総実労働時間は、全産業平均を大きく上回っています。2022年のデータでは、建設業の年間総実労働時間は2,006時間であり、全産業平均の1,714時間と比較して約300時間も長くなっています。

この長時間労働の背景には以下のような要因があります

技術力の高い日本であることによる複雑化と納期の短縮化により現場の状況は切迫している印象ですね。

  1. 工期の厳守:建設プロジェクトには厳しい納期が設定されることが多く、これを守るために残業が必要となる場合があります。
  2. 人手不足:熟練工の高齢化や若手の入職減少により、一人あたりの業務負担が増加しています。
  3. 天候や自然条件への対応:屋外作業が多い建設現場では、天候や自然条件に左右されるため、好条件の時に集中して作業を行う必要があります。
  4. 複雑化する建築技術:高度化・複雑化する建築技術に対応するため、より多くの時間が必要となっています。

人手不足と高齢化

建築業界では深刻な人手不足と高齢化が問題となっています。日本建設業連合会の調査によると、2020年時点で建設業就業者の約35%が55歳以上であり、29歳以下は約10%にとどまっています。驚きの数字ですよね、、若い世代が1割程度。。

この状況の主な原因として以下が挙げられます:

  1. 若者の建設業離れ:3K(きつい、汚い、危険)のイメージや労働条件が若者の入職を妨げている?!
  2. 技能継承の困難:熟練工の高齢化により技能やノウハウの継承が難しくなっています。
  3. 労働環境の改善の遅れ:他産業と比較して労働環境や福利厚生の改善が遅れている面があります。

生産性向上の難しさ

建築業界の生産性は他産業と比較して伸びにくい現実があります。国土交通省の資料によると、建設業の労働生産性は製造業の約6割程度にとどまっています。

生産性が向上しにくい主な理由には以下があります:

  1. 従来型の作業方法:手作業や熟練技能者の経験や長年の知識や感覚を大切にする場面が多く効率化が進みにくい面があります。
  2. IT化・デジタル化の遅れ:他産業と比較して、IT技術やデジタルツールの導入が遅れています。この背景にも経験と勘が重要である面が大きく現場での作業以外の導入もITへの抵抗から難しい判断となる場合が多い印象です。
  3. 重層下請構造:元請、下請、孫請といった複雑な構造が効率的な業務遂行を妨げている面があります。
  4. 現場ごとの個別最適化:建築プロジェクトは一つのプロダクトごとへの生産的な考えが強く標準化や効率化が難しい面があります。

歴史的背景を鑑みてみると、戦後の大成長の裏では今では想像できないような環境(例えば高所作業でも命綱がない場合も!)の中で感や経験のみで乗り切ってきた職人さんたちがITの再現性や機能を受け入れることができない気持ちもよくわかりますよね。

命をかけて、時代をつなげてきた世代が新しいものを受け入れていくのはイメージのギャップが大きすぎるというご意見もわかるような気がします。

安全衛生面の課題

建設現場における労働災害は他産業と比較して依然として高い水準にあります。厚生労働省の労働災害統計によると、2021年の建設業における死亡災害は258人で、全産業の中で最も多くなっています。

安全衛生面での主な課題は以下の通りです:

  1. 高所作業や重機操作などの危険を伴う作業が多い
  2. 熟練工の高齢化による事故リスクの増加
  3. 現場ごとに異なる環境への対応
  4. 安全教育や訓練の理解度の確認が難しい

これらの現状と課題を踏まえ建築業界では働き方改革が急務となっています。次の項では働き方改革の必要性についてさらに詳しくお話していきます。

働き方改革の必要性

建築業界における働き方改革は単なるトレンドや一時的な取り組みではありません。業界の持続可能な発展と、社会全体の健全な成長のために不可欠なことでありこれが現状なのです。ここでは、なぜ建築業界で働き方改革が必要なのかその理由を詳しく解説します。

人材確保と定着率の向上

建築業界の最大の課題の一つが人材の確保と定着です。前述の通り、業界の高齢化が進む一方で若手の入職が減少しています。この状況を改善するためには、業界の魅力を伝え若い世代にとって魅力的な職場環境を整備する必要があります。

働き方改革によって以下のような改善が期待できます:

  1. 労働時間の適正化:長時間労働を是正することで、ワークライフバランスが改善され若手にとっても魅力的な職場となります。
  2. 待遇の改善:生産性向上によって得られた利益を従業員の待遇改善に充てることができます。
  3. キャリアパスの明確化:多様な働き方の実現により個人のライフステージに合わせたキャリア形成が可能になります。
  4. 職場環境の改善:安全衛生面の向上やダイバーシティの推進により、より働きやすい環境が整備されます。

これらの改善により、建築業界の魅力が向上し新たな人材の確保と既存社員の定着率向上につながることが期待できます。もちろん改善という側面だけでなくそれを発信していくことで理解を深めるということが必要なのですが労働時間の適正化等イメージを塗り替えていくことが大切ですよね。

生産性の向上

建築業界の生産性向上は、業界の持続可能性を高めるだけでなく日本経済全体にとっても重要な課題です。

働き方改革を通じて、以下のような生産性向上が期待できます:

  1. 業務プロセスの効率化:長時間労働の是正を目指す中で、不要な業務の洗い出しや効率化が進みます。
  2. テクノロジーの活用:IT技術やデジタルツールの導入が促進され作業の効率化や品質向上につながります。
  3. 人材の有効活用:多様な働き方の実現により個々の従業員の能力を最大限に活かすことができます。
  4. イノベーションの促進:働き方の変革が新たな発想や技術革新を生み出す土壌となります。

生産性の向上は、企業の競争力強化につながるだけでなく従業員の待遇改善や労働時間短縮にも寄与します。

安全衛生の向上

建設現場の安全衛生の向上は、働き方改革の重要な目的の一つです。長時間労働の是正や作業環境の改善によって以下のような効果が期待できます:

  1. 疲労による事故の減少:適切な休息時間の確保により、疲労による判断ミスや事故のリスクが低減します。
  2. 心身の健康維持:過度な労働による心身の疲弊を防ぎ、従業員の健康維持につながります。
  3. 安全意識の向上:ゆとりのある労働環境が、安全に対する意識と取り組みを促進します。
  4. 新技術の導入:働き方改革の一環として、安全性を高める新技術の導入が進みます。

安全衛生の向上は、従業員の安全を守るだけでなく、企業のリスク管理や社会的責任の観点からも重要です。

業界イメージの改善

建築業界の「3K(きつい、汚い、危険)」というネガティブなイメージは、若手の入職減少の一因となっています。働き方改革を通じて、このイメージを改善することが可能です:

  1. 先進的な職場環境:最新のテクノロジーを活用した職場環境は若い世代にとって魅力的に映ります。
  2. ワークライフバランスの実現:長時間労働の是正によりプライベートの充実した生活との両立が可能になります。
  3. 多様性の推進:女性や外国人労働者の活躍を推進することで開かれた業界というイメージを醸成できます。
  4. 社会的価値の創出:働き方改革を通じて社会に貢献する業界というポジティブなイメージを構築できます。

業界イメージの改善は、人材確保だけでなく社会からの信頼獲得にもつながり業界全体の発展に繋がりますよね!

さて、お待たせいたしました!いよいよ本題、現場のリアルな声を書いていきます!

様々な職種の観点から見る「建築業界」

「建築業界」のリクルートに関するお悩みの相談を最近よくいただくのですが、皆さんがどのようなきっかけでご入職なさったか教えていただけますか?

僕は建築の企画提案、設計、デザイン、監理、コンサルティングを行っているのですが実は両親からはずっと医師を目指すように言われていたんです。
でもどうしてもクリエイティブな仕事がしたくて。
高校生の時に建築家 安藤忠雄さんが設計した建物を見て
すぐ無くなる消え去るモノではなく、永くその場所にカタチとして残り続けるのは建物だ!と思い建築家になろうと目指しました。
あとはやっぱり建築家・デザイナーという仕事がかっこいい。と思ったのがきっかけですね。

やはりきっかけとなった方がいらしたんですね。
皆さんはいかがですか?

僕の場合はちょっときっかけというよりは親戚の会社に入った形で。
やはり親戚ということで安心ですし年齢的にも転職先として良かったので挑戦してみました。

色々理由はありますよね、そういうきっかけって多い気がします。
横の繋がりというか、紹介での入職が多い印象です。
僕は建築物の造形が好きで、クリエィティブな仕事に就きたかったのでこの業界に来ました。

私も先日、建築業界のホームページを制作させていただいたのですが
やはり横の繋がりを大切になさっている印象がありました。
やはり、職人というと一人前になるまで技術の獲得が大変なので古い言葉かもしれませんが「弟子入り」というか、この事務所ならお願いできる。といった感じでご紹介があったりするみたいですね。

建築業界について、私も最近一緒にお仕事させていただく機会が増えてよく事務所にお伺いするのですが皆さん優しいし、ユーモアがある方が多い印象で。職人さんというともっと寡黙で「職人気質」という言葉のイメージがあったのですが、皆さんもギャップってありましたか?

設計の仕事をしていくうえで、
「建築」つまり建物を造る流れや工事、施工方法を知らずに実際に造れない設計をしたくない、建築知識の無い設計者になりたくない、馬鹿にされたくない、という不安と想いがあり、まずはゼネコン(建設会社)には設計志望で入社しましたが、施工を覚えるために現場に出ようと考え
入社後は現場監督として業務を行いながら設計を覚えたのですが
建設業界は正直、ブラック+3K+職人の世界で怖いというイメージがありました。
実際、現場監督と携わっていたころは、朝も早く毎日遅く、休日も日祝のみでイメージ通りでした。ただ僕の場合は大手ゼネコンであったこともあってか、業界の中では比較的社員の業務量負担や管理体制基準がしっかりしていました。
先程、辰己さんがお話の通り業界のイメージ回復や人員確保含め、この10年ほどで大手だけでなく中小ゼネコンも穏やかに変わって来ているかと思います。

僕の場合、あまり感じなかったですね。3Kという言葉は知ってはいましたが身近だったから不安もなかったです!

ただ、入社してみると大変な面はありましたね。
納期の厳守とかどうしてもずれ込みがあるのでそのリカバーで残業になる面はありました。

あとは僕の場合ニッチな商品のリースと施工を行なっているので雨、風、雪関係なく施工を行っているので天候的な問題はありますね。

やはり納期問題はよく聞きますね。日本の納期順守率ってすごく優秀だとよく聞きます。天候も外での作業の中だと本当に大きな問題ですよね。
(私たち全員ゴルフ繋がりなので少しは慣れている方ですが、作業があるとなると別物ですもん)
大変なところってその他にもありますか?

建設業界全般としては製造業・運送業などとともにまだまだ労働時間・環境については他業種と比較しかなり遅れている状況であると思うんです。
人手不足については他業種と違い、いわゆる「職人」としての知識技術習得には経験年数と資格が必要となる業界で、高齢化による廃業や若者のなり手が居ないなど危機感が最も大きい業種であるため、人材確保に各社とも苦労をされています。
私の建築設計業においては、労働時間削減や今年度からの残業45時間(/月)労働などもともと「考える・発想する」ことに時間を要することもあり、
今までと同じ業務量を時間を減らすことを、一概に「業務効率化」で会社として対応(外注ブレーン増)するだけでは出来ない課題をどう解決していくかという問題点があります。

確かに、クリエィティブな面って労働時間=成果ではないですもんね。
私の場合業態が近いので(広告やYouTubeもやってきたので)
よくわかる気がします。
広告代理店ではリフレッシュの福利厚生として旅費が福利厚生で負担される会社もあるくらいで、ライフワークバランスがいい効果を生む印象です。

やはり人間関係はどの業種でも大切ですね。
やはり世代間ギャップってあると思うのでそこが上手く埋まるか、
いい上司と出会えるかって大きいですよね。

そうですよね。社内(就業場所)の環境整備、給与面、社員のメンタルケアなどがしっかりしている企業はいい会社です。
世代間のギャップってあるじゃないですか。団塊の世代とかゆとり世代とかってどうしても思想って変わるので、そこでオフィス環境(コミュニティラウンジ、無料自販機他)、昇給昇格基準、メンタルケアフォローなどをここ数年かけ整備しています。

私もゆとり世代代表として笑
環境とか人間関係ってすごく大切だと思います。

最近は風通しの良さを伝えるためにYouTubeやTikTokなどで発信する企業やライブ配信をしている建築業界の企業さんも増えましたね。
就活イベントとかよりか日常も方がリアルだし、私自身いろいろな媒体の撮影やマネジメントをしてきましたがやっぱり説明会の一瞬よりか企業アカウントの方が伝わる雰囲気って増えるみたいで歯科医院のTikTokではTikTok経由のリクルートがとても増えたので人間関係のフラットさや空気感をリアルに伝えることが大切ですね。
福利厚生という観点では何かあったらいいなというものってありますか?

働く場所の環境(ここで仕事をしたい!と思える環境)や有休取得率の向上、またその手法(弊社では有休の1日分(8時間)を2時間単位ごとで取れるようにし、計8時間分で1日分としいています。
これだと日中に通院したい場合今までだと「遅刻・早退」申請扱いでしたが朝や夕方に2h有休で業務する、子供の学校行事や通院で2hや4h有休など幅広い使い方が出来るようになり、社員達には好評ですね。
オフィスのコミュニティーエリアに、おごり自販機などを設置し無料でドリンクなど飲みながら、雑談やちょっとした社内ミーティングをしたり
カウンター席や集中ブースなどで自席デスクとは違う場所で気分転換しながら業務なども好評でしたね!

家賃補助とか様々な手当もやはり欲しいところですね。
あとは男性比率が非常に高いので女性の応募って勇気がいると思うので
もっと建築に興味がある方が増えるように事務所の環境もよくしていく(キレイで清潔感のあるオフィスってやはりいいですよね)こともいいかもしれません。

取材後記

今回のインタビューを通して、現場の抱える課題やデータだけでは読み解けないリアルな声を聞くことができ、問題について向き合い改善している内容(社員さんのリアクションも含めて)も伺えたことがとても学びになりました。

建築業界のイメージから連想するように職人気質文化のある業態での人間関係は皆さんが重要視していることがわかりました。

今後、ITで建築業界をどうサポートできるかを記事にしていきますのでぜひそちらも併せてご覧ください!

今回取材にご協力いただきました建築家豊田伊吹様、電気工事士I様、HIRO様、N様 

お忙しい中貴重なご意見をいただきまして誠にありがとうございました。

個人の特定を避けるため、ペンネームでの表記およびどなたのコメントかを伏せる形での掲載となっております。

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